福岡地方裁判所小倉支部 昭和44年(ワ)775号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕<証拠>を綜合すると、本件事故当時、被告安藤は、被告重雄にその経営する材木商の使用人として雇われ、被告ツネ子は被告重雄の妻であるがその事業の手伝いをし、昭和四三年度まで三年間は被告重雄が手形不渡をした関係でその営業名義人となり、被告重雄がその経営する事業に使用する乗用自動車二台、貨物自動車三台の所有名義はすべて被告ツネ子となつており、右乗用自動車の中の一台が本件加害自動車であるが、平素本件加害自動車を含め右自動車全部の鍵は原則として右材木商の営業所の誰でも持ち出せる場所を保管場所として保管しており、本件加害自動車は右営業所または同所から相当離れた被告重雄の住居に置いていたところ、被告安藤が、営業所に置いてあつた本件加害自動車を、その鍵を右保管場所から持ち出して、別に用件もなく乗り廻し運転するうち本件事故を起したものであり、被告安藤は以前にも被告ツネ子所有の右自動車を運転したことがあることを認めることができ、<反証排斥>
右事実によれば、被告安藤の右運転は外形上その使用者である被告重雄の事業の執行というべきであり、被告重雄は使用者として民法七一五条により本件事故により生じた後記人的、物的損害を賠償する責任がある。
さらに、右事実ことに本件損害自動車が被告ツネ子の所有名義となつていること、被告ツネ子の材木商の事業上地位等に照すと、被告安藤の右運転は外形的に被告ツネ子のための運行というべく、また被告ツネ子は被告安藤の右運転について運行の支配および利益を有していたものというべきであるから、被告ツネ子は自動車損害賠償保険法第三条により本件事故により生じた後記人的損害を賠償する責任がある。(矢頭直哉)